浄水器に使用されている濾材について

浄水器は水を浄化するためにろ材を使用します。浄水器はこのろ材を組み合わせてそれぞれの有害物質を除去できるように有効な機能の組み合わせで浄水機能を発揮させます。

もちろんこれらの濾材は除去性能だけでなくその濾材から有害物質が溶出しないことが前提です。

活性炭

活性炭の原料は、ヤシ殻・木粉・石炭などがあり、多くヤシ殻が使われています。これらを蒸し焼きにして表面に微細な孔や溝を作り、有機物などはその孔に吸着されます。活性炭ろ材の層では、有機物、臭い、カルキ臭などを吸着させます。残留塩素は炭素の触媒的機能によって分解されますので、吸着する微細孔が埋まってしまうと活性炭を取り替える必要があります。活性炭の形状としては、粒状、粉状、繊維状、ブロック状があり、浄水の他、脱臭などにも使われます。

ろ過膜

ろ過膜層では、一般細菌、濁り、鉄さびなど粒子となっているものを通過させないようにします。ろ過膜層が詰まってくると、水の通りが悪くなってきます。代表的なろ過膜としては、精密ろ過膜と言われ、中空糸状になったものが多く、一般的に中空糸膜と呼ばれています。これは0.4~0.01μミクロンの孔の開いた中空糸状になった膜で、通常の水道水圧で使用でき、水分子やミネラル分は通しますが、水道水に入った砂類や細菌類などの粒子類は通しません。原虫類などもこのろ過膜で阻止されます。中空糸膜は特に大きな圧力など加える必要がないので、水道用ろ過膜として汎用されています。

逆浸透膜

本来海水淡水化など産業用に使われてきたものを家庭用に組み立てたもので、最近はとても注目されています。微細孔膜というよりは半透膜で浸透圧を利用して水分を取り出す方法で、通常の水圧ではこの孔を通過できない為加圧ポンプなどで加圧ろ過します。原発事故で水道水へ放射性物質が混入した事故で注目されはじめました。

セラミック

ろ材としてセラミックも使われています。いわゆる素焼きの瀬戸物のように、微細な孔を利用して水をろ過します。

イオン交換樹脂、イオン交換膜

濾材としてイオン交換樹脂やイオン交換膜も使用されます。これはイオン交換隊の持つイオンと水中のイオンを交換することにより目的とするイオンを除去する方法で、鉛イオンや硝酸性窒素などの除去に使用されています。

★この中で逆浸透膜だけは例外で、ほとんどの不純物をろ過します。逆浸透膜のつまりや劣化を防ぐ為には前処理や後処理で活性炭フィルターなどの組み合わせをして使用されています。

浄水器方式の種類(濾材の種類による分類)

活性炭式浄水器

活性炭のみを使用しています。簡易型の浄水器や多量の活性炭を用いて吸着性能を大きくした浄水器もあります。塩素やトリハロメタン等を効果的に除去できますが、性能がすぐ落ちる為、フィルター交換時期が比較的短いです。

中空糸膜式浄水器

中空糸膜だけの家庭用浄水器はありません。複合的な汚染に対応する為、濾材を組み合わせます。多くの場合、活性炭、中空糸膜を組み合わせます。活性炭の吸着性能と中空糸膜の微細粒子等の除去性能を組み合わせた浄水器です。残留塩素、カルキ臭、カビ臭、トリハロメタン、農薬類などを活性炭で除去、吸着し、鉄さび、雑菌、濁りなどを中空糸膜でろ過捕捉します。ただし、水に入っているミネラル類は除去しません。その他、除去対象物質によってはそれに対応する濾材を組み合わせます。

セラミック式浄水器

濾材としてセラミックを使用している方式です。有機塩素化合物、クリプトスポリジウム等の除去は期待できません。

逆浸透膜式浄水器

ろ過膜として逆浸透膜を使用した浄水器で、中空糸膜よりさらに微細な孔をもった半透膜に圧力を加え、水だけを押し出して水中の溶存物質の他イオン等も除去します。本来、海水の淡水化などに使用された材料で、淡水の少ない所や海水しかない所等では大型施設で使用されています。日本では淡水を補う為に海水淡水化を行っている地域水道もあります。家庭用浄水器としては活性炭と逆浸透膜との組み合わせで使われるケースが多いです。ダイオキシンやトリハロメタンなどの化学物質はもちろん、放射性物質(ヨウ素、セシウム)等の不純物を90%~99%除去することが可能です。最近は、イオン物質や放射性物質対応においては注目を浴び、様々な場所で使用されています。

イオン交換樹脂使用浄水器

イオン交換樹脂を使用した方式で、硬水を軟水にする浄水器です。カルシウム、マグネシウム(硬度成分)鉄などを除去します。